大人のマンション購入計画 -5ページ目

人気物件のスペック診断【トーキョーガーデンスイート:その1】

ご覧いただき、ありがとうございます。


今回診断する物件は「トーキョーガーデンスイート 」です。

総戸数555戸の大規模物件ですが、

タワー型ではありません。

最寄り駅は東京メトロ千代田線「北綾瀬」になります。


それでは、詳細を見ていきましょう。

なお診断は、基本的に物件のウェブサイト上に

掲載されている情報に基づいて行います。


■用途地域 → 第一種住居地域・第一種中高層住居専用地域


<コメント>
用途地域からは、住環境として好ましい地域と言えます。

将来にわたって、マンション周辺の街並みの変化が

どのように変化していく可能性があるのかを知っておくために、

周辺地域の用途地域も確認しておくことをオススメします。



■性能評価書 → 未確認


<コメント>
性能評価書に関する記述は物件サイト上で

見あたりませんでした。

全く言及していない物件の場合、

ディベロッパーの姿勢として

「性能評価書の取得は当然のことであり、

改めて言うまでもない」

から表記していないケースと、

「性能評価書など取得する必要なし」

と考えている場合の両極端に分かれます。

ですから、モデルルームの販売員などに

必ず確認してください。

また、性能評価書を取得している場合は

その内容を吟味することも大切です。



■構造
 ・アウトフレーム工法か? → ほぼYes
 ・逆バリ工法か?     → No
 ・地震対策        → 未確認


<コメント>
アウトフレーム工法については、

物件サイト上に掲載された図面を見る限り

幾つかの物件で若干の柱の出っ張りが

室内に出てきていますが、

ほぼアウトフレーム工法と言っていいと思います。


逆バリ工法は採用されていません。

バルコニーの手すりの高さまではガラスなどの

透過性のある素材で仕上げ、開放感を重視したのかもしれません。


地震対策ほか、基礎などに関する記載が

物件サイト上にはほとんど見あたりません。

この点は問題だと思います。

必要性が疑わしい共用施設(プールなど)を前面に押し出して

アピールする意図がサイト上から伺い知れますが、

これは本末転倒。

「プロダクト」としての基本性能がしっかりとしている上で

共用施設などは付加価値として存在するというのが、

本来のあり方です。

もちろん、パンフレットなどには説明があるかもしれませんが、

だとしたらなぜサイト上に掲載しないのか、

その意図が不明です。



■天井高 → 未確認


<コメント>
天井高に関する情報もウェブサイト上で見つけることは

できませんでした。

リビング・ダイニングの天井高については

のびやかな空間であるために2,550mm以上は欲しいところです。

また将来のリフォームなどを考慮すると

二重天井であることも求められます。

いずれも販売員などに要確認です。




■遮音性
 ・戸境壁の遮音性       → 未確認
 ・外壁の遮音性        → 未確認
 ・サッシの遮音性       → 未確認
 ・上下階の遮音性       → 未確認


<コメント>
いずれの項目も物件のウェブサイト上に情報が見あたりません。

ここまでくると、売主であるディベロッパーのPR力というか、

「お客様は一体何を求めているのだろう?」

という企業として考えるべき基本的な姿勢が

欠けているように思います。

超高級物件のマンションの場合や、

発売までまだ時間がある物件などでは

あえて提供する情報量をセーブすることもありますが、

11月上旬に発売を控えている当物件で

ウェブ上にこれだけの情報しか載っていないとは。

住戸が接しているというマンションの特質上、

購入を検討されている方は特に騒音対策がなされているか

気になるでしょうから、

しっかりとしたスペックで設計されているのであれば、

ディベロッパーとしてもアピールした方がいいと思うのですが。

いずれの項目も販売員に要確認です。



【上記は2005年10月31日現在のWebサイトに掲載されている内容に基づきます。また、数値などは正確であるよう に努めていますが実際と異なる場合もあり得ますので、購入を判断される際には必ずご自身でご確認のうえ、ご自身の責任でご判断ください。万一、当ブログの 情報に基づいて何らかの不利益を被られても当方は一切の責任を負いません。】

人気物件のスペック診断【豊洲シエルタワー:その3(最終)】

ご覧いただき、ありがとうございます。


「豊洲シエルタワー」のスペック診断3回目(最終)です。

今回は、主に設備仕様について見ていきます。


■給水管の配管工法 → さや管ヘッダー工法

<コメント>

給水管が洗面やバスルーム、キッチンなど水を供給する場所ごとに

枝分かれしている「先分岐配管工法」ではなく、

メンテナンス性に優れた「さや管ヘッダー工法」を採用しています。



■キッチン
 ・ディスポーザー   → 未確認
 ・浄水器       → 未確認
 ・バス給湯操作パネル → 未確認


<コメント>

上記3つのアイテムについては、

物件のウェブサイト上において記載を確認できませんでした。

オプションで設定しているのかもしれませんが、

ディスポーザーについては標準装備して欲しいところ。

浄水器については水へのこだわりがある方と無い方で

判断が分かれると思います。

また特に水へのこだわりがある方は、

標準設定されていないほうが好都合かもしれません。

マンションディベロッパーが用意している

浄水器では満足できないでしょうから。

例えば、「『シーガルフォー 』じゃないとイヤ!」

という方には浄水器が標準ではなくオプション設定されている方が

好ましいでしょう。

前者2つと異なり、バス給湯操作パネルは

特に後付が難しくなるので是非標準で装備されていて欲しいアイテム。

わざわざバスルームへ行かなくても

キッチンから簡単なボタン操作で

バスタブにお湯を張ることができますので、

家事を手助けしてくれます。

実際には設定されているにもかかわらず、

ウェブサイト上に掲載されていないだけかもしれませんので、

マンションディベロッパーの販売員に必ず確認してください。



■洗面室(パウダールーム)
 ・曇り止めヒーター内蔵洗面鏡 → 未確認
 ・洗濯機の目隠し扉      → 未確認
 ・リネン庫          → Yes
 ・ヘルスメーター収納     → 未確認


<コメント>
ここに掲げた4つすべてが標準的なマンションに装備されているべきもの

とは言えません。

しかし、マンションにプラスαのスペックを求める方には、

ぜひチェックしたいアイテムです。

「豊洲シエルタワー」のウェブサイト上ではそもそも

洗面室(パウダールーム)の項目自体が見あたりませんでした。

リネン庫は図面上で確認したものですが、

全タイプの間取りをチェックしたわけではありませんので、

すべての住戸に備わっているとは言い切れません。

これもマンションディベロッパーの販売員に確認が必要ですね。



■バスルーム
 ・バスタイプ     → 未確認
 ・浴室暖房換気乾燥機 → Yes
 ・ユニットバスサイズ → 1418以上
 ・低床型ユニットバス → Yes


<コメント>
バスタイプとは、

「フルオートバス」「セミオートバス」

などのことです。

これもウェブサイト上では記載を確認できませんでした。

販売員に要確認です。

ちなみに「フル」と「セミ」の間には

実質的に機能面において大差はありません。

「フルオートバス」であることよりも、

先ほどもご説明しましたバス給湯操作パネルを

備えている方が有益だと思います。

ユニットバスについては、間取りによって

サイズが「1418」と「1620」などがありました。

このサイズであれば特に問題ないでしょう。




■トイレ
 ・便器タイプ        → 未確認
 ・温水洗浄機能付き暖房便座 → 未確認
 ・施錠方式         → 未確認
 ・扉のアンダーカット    → 未確認


<コメント>
トイレについても洗面室(パウダールーム)同様

記載がありませんでした。

便器のタイプは普段あまり意識されたことがない方が多いかもしれませんが、

1日に何度も使うものですから、

それなりの仕様であって欲しいもの。

便器タイプについてはこちら をご覧ください。

その他の3項目については必ず装備されていて欲しいものです。




■玄関
 ・玄関アルコーブ             → Yes
 ・耐震玄関ドア              → Yes
 ・玄関ドア:サムターン回し対策      → Yes
 ・玄関ドア:2ロック式           → Yes
 ・玄関ドアキー:リバーシブル&ディンプル → Yes
 ・インターホン              → カラーモニター付。録画機能はナシ。


<コメント>
玄関アルコーブとは、

住戸への玄関扉が外廊下から一段奥まったところに設置されている

ことを言います。

全住戸タイプの図面で確認したわけではありませんので、

購入を検討されている場合は、

必ず図面で確かめる、もしくは販売員に問い合わせてください。

耐震玄関ドアは、万が一の地震発生時に

玄関扉が変形してしまい外部へ非難できないような

事態に陥らないようにするためのものです。

サムターン回し対策以下4項目については

いずれもセキュリティに関するもの。

スペックとしては標準的な仕様と言えます。



■その他
 ・バルコニーのスロップシンク → 未確認
 ・ネット環境         → 100Mbps
 ・24時間ゴミ出しスペース   → 未確認

<コメント>

タワー型のマンションなので、バルコニーでのガーデニングなどは

想定していないのかもしれませんが、

お子さまの運動靴を洗うなど

バルコニーで水を利用する機会はあると思います。

ですからスロップリンクは備わっていて欲しいアイテムです。

物件サイト上では確認できませんでしたので、

販売員に問い合わせることをオススメします。

ネット環境については「各住戸へ最大100Mbps」と記載されていますが、

マンション全体として回線の容量がどれくらいなのか説明されていません。

総戸数が500戸以上のマンションであることや

今後ますますネットでの動画配信などが

盛んになることが予想される点を考慮すると、

相当な大容量であることが求められます。

タワーマンションであるがゆえ、

24時間いつでもゴミを出せるスペースが

各階に欲しいところ。

これも物件サイト上では記載が見あたりませんので、

販売員に問い合わせることをオススメします。





<全体の印象>
物件自体についての感想からはズレますが、

物件のウェブサイト上で提供されている

マンションのクオリティに関する情報が

少なすぎるのではないでしょうか。

情報の飢餓感を煽って訴求力を高めるという手法は

マンションだけでなく幅広いプロダクトで

よく行われていますが、

マンション売り出しの初期段階ならまだしも

すでにモデルルームもオープンしている

この時期にこの情報量というのはかなり物足りない感じがします。

「もっと情報を知りたければ、資料を請求してください

(→そうすれば私たちは顧客情報を入手できますから)」

という意図でもあるのでしょうか。

パンフレットなどでは十分な説明がなされているのでしょうが、

それはごく当たり前のこと。

マンションの購入を検討している人にとって

ネットは情報入手のための重要なツールのひとつです。

そこを疎かにしているのは、売り手としてちょっと拙いなと感じます。




【上記は2005年10月27日現在のWebサイトに掲載されている内容に基づきます。また、数値などは正確であるように努めていますが実際と異なる場合もあり得ますので、購入を判断される際には必ずご自身でご確認のうえ、ご自身の責任でご判断ください。万一、当ブログの情報に基づいて何らかの不利益を被られても当方は一切の責任を負いません。】



<追加情報:10月28日>
fur596359さんのnorikoの豊洲リサーチ によりますと、

この物件、分譲は87戸のみ(この記述は物件のウェブサイトにもあり)で、

他は地権者分と賃貸になる模様。

しかも4階から33階までと大半を賃貸が占めるようです。

どこかの不動産ファンドがまとめ買いをしたのでしょうか。

プロジェクトの大きさの割に、

ウェブサイト上でのアピールにいまひとつチカラの入り具合が

感じられなかったことも、この事実を知って納得しました。




人気物件のスペック診断【豊洲シエルタワー:その2】

ご覧いただき、ありがとうございます。


前回に引き続き、「豊洲シエルタワー」のスペック診断です。


■遮音性
 ・戸境壁の遮音性 → ★★★☆☆
 ・外壁の遮音性  → ★★★☆☆
 ・サッシの遮音性 → ★★★★
 ・上下階の遮音性 → ★★★★★

<コメント>
戸境壁にはコンクリートではなく乾式遮音壁を採用しています。

この方式による遮音性能を「普通コンクリート厚さ180mm」の

場合と比較したグラフがサイト上に掲載されています。

比較対象が厚さ200mmの普通コンクリートならまだしも

180mmでは比較する対象として適切とは言えません。

このグラフを一見したところでは

「お隣さんからの騒音に対してはしっかりとした対策が

とられている物件」

と思えますが、決してそうとは言い切れません。

「戸境壁のコンクリート厚は、遮音性に配慮すれば

200mmは欲しい」

ということをポイントとして押さえておかないと

グラフを鵜呑みにしてしまいます。

外壁についてはGL工法を採用している点が気になります。

遮音性が低く共鳴現象も起きやすいGL工法を

戸境壁で用いることは問題外ですが、

外壁においても避けたい工法です。

サッシについてはT-2等級という遮音レベルの高い

仕様となっています。

外からの遮音性を見極める上で見逃してはならないのが、

通気口の遮音性能です。

現在のマンションでは高い気密性が確保されているため、

ほとんどの物件で24時間定風量換気を導入しています。

当物件に関してはWebサイト上で特に紹介はされていませんが、

おそらく採用されていると思います。

その場合、吸排気のルートとなる通気口が

空気だけでなく音の取り入れ口にもなってしまいます。

ですから「消音タイプの通気口」が採用されているかについて

確認も必要になります。

上下階からの遮音性については、

Webサイト上の情報から判断すると

かなり高い性能が期待できると思います。

二重床でありLL-45等級相当を実現している、

とのことですから、軽量床衝撃音に対してしっかりとした

遮音対策ができているとみていいでしょう。

また重量床衝撃音についても

床のコンクリートスラブが230mm(一部210mm)

であることから、小梁がどのように入っているのか、

確認する必要があるという前提条件は付きますが、

遮音性が高いと見ていいと思います

(軽量床衝撃音や重量床衝撃音についての詳しい説明は、

こちらのサイト をご覧ください)。





■性能評価書 → 「設計住宅性能評価書」取得済み。
         「建設住宅性能評価書」は完成後に取得予定。


<コメント>

性能評価書を取得しているのですが、

内容が表示されていません。

各項目についてどれくらいのレベルを達成しているのか、

ディベロッパーの営業に確認する必要があります。

また、性能評価書の中で選択項目である

「8:音環境に関すること」についても

評価を受けているかチェックが必要です。

騒音に関しては感じ方が人それぞれである、

というのが「8:音環境に関すること」について

必ずしも評価を受けなくてもいいという理由になっていますが、

購入者からすると客観的な指標は知りたいところです

(性能評価書についての詳細は、こちら をご覧ください)。



【上記は2005年10月24日現在のWebサイトに掲載されている内容に基づきます。また、数値などは正確であるように努めていますが実際と異なる場合もあり得ますので、購入を判断される際には必ずご自身でご確認のうえ、ご自身の責任でご判断ください。万一、当ブログの情報に基づいて何らかの不利益を被られても当方は一切の責任を負いません。】



人気物件のスペック診断【豊洲シエルタワー:その1】

ご覧いただき、ありがとうございます。


これまでマンション選びをする際には

どのようなポイントに着目すればいいのか、

お話ししてきました。

まだ言及していないポイントもありますが、

具体的な物件を例に挙げ、私なりに仕様などを評価してみようと思います。

マンションを選ぶ上で検討のシミュレーションとしてご覧いただいてもいいですし、

もし取り上げた物件をまさに購入しようと検討されているのであれば、

お役立て頂けると嬉しいです。

なお、各物件の情報は基本的に物件のWebサイトからのみとします。

ネット環境が整っている方であればどなたでもアクセスすることができるため、

私がどうしてそのような評価をしたのか、

その根拠を知ることができるからです。



1回目は「豊洲シエルタワー 」。

場所はタワー型マンションが開発ラッシュを迎えている

東京湾岸の北部です。

豊洲には他に「パークシティ豊洲(2006年春販売開始)」や

「スターコート豊洲(2005年11月下旬)」などが、ほぼ近接したエリアにあります。

ディベロッパーとしては競争が激しいですね。

では、「豊洲シエルタワー」を見ていきましょう。


■用途地域は? →商業地域

<コメント>
商業地域はお買い物など生活に便利な反面、

住居としては日照などに問題が生じる場合があります。

詳細は、こちら をご覧ください。




■構造
 ・アウトフレーム工法か? → Yes and No
 ・逆バリ工法か? → No
 ・地震対策 → 非免震

<コメント>
アウトフレームについては、

居室内に柱の出っ張りをなくすることができる工法を

アウトフレームと定義するならば、

アウトフレームとなる間取りもありますが、

すべてに当てはまらないのでYes and Noとしました。

逆バリについては、タワー型マンションですから

構造上の制約が大きくなりますので致し方ないのかもしれません。

地震対策については免震技術を導入していないようです。

一般的な地震対策はなされていますが、

特筆すべき内容は見あたりません。

このエリアは内閣府が発表した

表層地盤のゆれやすさ全国マップ (2005年10月19日付)」において

揺れやすい度合いが高いとされているので、

特に地震への入念な対策が望まれる場所です。





■天井高 → 最大約2,700mm

<コメント>
上記の数字はリビング・ダイニングのものです。

この数値は標準以上と言えますが、

「一部住戸を除く」という注釈がある点が気になります。

申込みをされるのであれば、図面などで天井高の確認が必要です。

また二重天井を採用していますので、遮音性やリフォームの点で

メリットを期待できそうです。



【上記は2005年10月20日現在のWebサイトに掲載されている内容に基づきます。また、数値などは正確であるように努めていますが実際と異なる場合もあり得ますので、購入を判断される際には必ずご自身でご確認のうえ、ご自身の責任でご判断ください。万一、当ブログの情報に基づいて何らかの不利益を被られても当方は一切の責任を負いません。】

マンション購入を決断するときって?

ご覧いただき、ありがとうございます。


sumikaeさんよりTB をいただきました

「決め時っていつですか?」という

テーマについて書いてみようと思います。

sumiakeさん、ありがとうございます。



「欲しいときが買いどき」と言い切れるほど、

マンション購入は簡単ではありません。

「マンションを買う」ということは、

その先の人生の大きな部分を左右しかねないほど

影響が大きいもの。

しかもマンションにはさまざまな要素が複雑に絡み合っていることも

購入の決断を難しくしています。

検討すべき項目が多すぎて、混乱すると言えるのかもしれません。


どのような検討項目があるのか思いつくままに列挙してみます。

まず、外的要因として、

 ・地価
 ・税制
 ・周辺環境  

などがあげられます。

このうち、地価の変動に関しては

予想は可能としても将来どのように変化するのか

誰にも分かりません。

最近では首都圏を中心に地価が底を打ったことを示す

数字が出てきていますが、

日本の経済環境の変化によっては

さらに下落する可能性がないとも言えないのです。

税制についても然り。

数年先の住宅ローンの特別控除などは

アナウンスされていますが、

その先は誰にも分かりません。

誰にも見通せない項目についてあれこれと

迷っても答えが出ないことは明らかですから、

これらについては現状の正確な把握と分析を終えれば、

それ以上悩んでも仕方がないと思います。

周辺環境の変化についてもほぼ同じ事が当てはまると言えます。

もちろん、このブログでは何度かお話ししていますが、

マンションがどの「用途地域」に建設されるのか、

またマンション周辺はどのような「用途地域」なのか、

調査されることを強くオススメします

(用途地域の詳細についてはこちら にありますので、

よろしければぜひご覧ください)。


その他にも、物件のクオリティをはじめ

検討すべき項目はたくさんあります。

見極めるべきポイントの一部については

こちらのサイト にまとめていますので、

ご参照していただきたいのですが、

大切なのはマンションに何を望むのか明確にすることです。

どのようなマンションを理想としているのか、

その基準がブレてしまうと

検討対象のマンションごとに判断が変わってしまい、

なかなか決断に至りません。

マンションを買おうと思った時点で

自分のマンション理想像がはっきりと見えている方は

少ないことでしょう。

いろんなマンションを見ていく過程で

次第にイメージが形作られてくるでしょうから

それをイメージで終わらせるのではなく、

自分の判断基準として紙に書かれてみてはいかがでしょうか?

メモなり文章なりで残しておくと判断基準が具体的になり、

購入決断へのハードルが少し下がると思います。



デザイナーズ・マンションって??

ご覧いただき、ありがとうございます。


ディベロッパーサイドが経済効率を最優先しマンションを開発すると、

まるでどれも判を押したかのように

同じようなものになってしまいます。

身近にある日用品にも同じ傾向がありますが、

競合商品と機能が酷似してくると、

差別化するためにひとつの方法として、

デザインによる付加価値の向上が試みられます。

デザイナーズ・マンションの登場というわけです。

このデザイナーズ・マンションという言葉。

特に定義があるわけではないので、

デザイナーの関わり度合いに

かなりのばらつきがあります。

もっともデザイナーが深く関わった、

と言うにはいささか失礼かもしれませんが、

作り手の意図がはっきりみえるマンションの例として

真っ先に思いつくのは、

安藤忠雄の「六甲の集合住宅」 です。

デザイナーズ・マンションなどという

言葉が空々しく思えるくらいの

現代の住宅建築における名作といっていいでしょう。

建築家の主張が住まいにはっきりとあらわれているほど、

住む側の意見が分かれるケースがあります。

ディベロッパーが提供するマンションを見慣れている方にとって、

「六甲の集合住宅」は違和感があるかもしれません。

理想の住まい像は人それぞれですから。

しかし、この点こそ、市場に供給されるマンションが

どれも似通ったものばかりである理由にもなるのです。

ディベロッパーは莫大なコストをかけて、

マンションを開発し販売する事業を行います。

売れ残ってしまい、赤字になるということはなんとしても避けたい。

となると、最も売れやすいタイプのマンションのあり方をリサーチし、

売り出すことになるのです。

結果、マンションはどれも似たタイプのものに。

建築家やデザイナーのテイストが色濃く出過ぎてしまうと、

買い手が趣向とかけ離れてしまい

顧客の数が限られる可能性がある。

とはいえ、ありきたりのマンションであれば

他の物件から一歩ぬきんでることができないので、

ディベロッパーとしては、

「ほどよい関わり方をしてくれるデザイナー」を求めます。

身も蓋もない言い方をすれば、

ディベロッパーの主張を

聞き入れてくれやすいデザイナーを求めます。

デザイナーズ・マンションとは銘打っていなくても、

デザイナーが計画に関わっていることをウリにしている

マンションは多々あります。

よくあるのが「設計監修」という肩書き。

「スーパーバイザー」というのもあります。

これも何をやっているのか非常に曖昧な表現ですが、

外壁タイルの仕様やカラーリングなど

外観を「ちょこっと」デザインする

というような関わり方が多いようです。

ネットでざっと調べてみたのですが、

ネームバリューのある建築家を迎えていても

関わり方が非常に曖昧、というか、

ひょっとして名前を借りているだけ?

と疑いたくなる物件もありました。


現状のマンションでは、どうしても飽き足らないという場合、

コーポラティブハウスという選択肢があります。

よろしければ、こちらの記事 をご覧ください。

もうひとつの、住まいの品質。デザイン。

ご覧いただき、ありがとうございます。


このブログでは、マンションをお探しの方に、

まっとうな住まいを見つけていただくために

いろいろなお話をさせていただいています。

残念ながらすべてのマンションディベロッパーが

良心的ではありません。

人生最大の買い物で欠陥商品をつかまされる

ようなことになれば、

それは悲劇です。

一定の品質を満たさないマンションを

売りつけるディベロッパーの非は言うまでもありませんが、

こうした業者が跋扈する一つの理由には、

良質なマンションを見定めるしっかりとした知識を

身につけることなく、

マンションを買ってしまう消費者にもあると思うのです。

よほどひどいディベロッパーには

行政によるなんらかの処置が必要ですが、

大のオトナが通常の商取引として

マンションを買うわけですから、

そこは駆け引き。

批判を恐れずに言わせていただければ、

つかまされる方にも非があります。

そんなことがないように、

検討しているマンションがまっとうな品質か否かを

見抜くポイントをご紹介しているのですが、

これまで全く言及してこなかった

品質があります。

それは、デザイン。

私自身、こちらのほうが専門なので、

お話ししたいことはたくさんあるのですが、

問題なのは、

判断がかなりの部分、主観に左右されるということ。

つまり「好み」次第ということです。

ですから、ここでお話しすることは

自分の好みを押しつけることになるのでは、

と思い、デザインについて触れることに

ためらいがあります。

デザインとは、

なにも突飛な色や形のことではありません。

より豊かな暮らしを実現するために、

必要なものは何か。

自分が毎日の生活をそこで営み、

心から満足のいく暮らしをできるだろうか。

マンション購入の検討を具体的に進めていると、

微に入り細にわたって検討をしていると

新しい住まいでどのような暮らしを望んでいるのか、

という大きなテーマを忘れがちになります。

一度、原点に立ち返って思いを巡らし

人生最大の買い物を是非成功させてください。



性能評価書に、音環境は含まれていますか?

ご覧いただき、ありがとうございます。


このブログで性能評価書の重要性について

何度かお話ししてきました。

ディベロッパーによっては、

売り出しているマンションが性能評価書を取得していることは

もはや当然ということで、

パンフレットに記載すらしないというケースもあるようです。

取得自体は任意であるとはいえ、

ここまで性能評価書が標準的になってくると、

比較検討しているマンションの中で

性能評価書を取得していない物件があれば、

それだけで候補からはずすことも「有り」だと思います。

もちろん、性能評価書を取得しているだけで

すべてがOKというわけではありません。

その中身、つまり「質」をしっかりと見極める必要があります

(性能評価書を見るに当たっての注意点については、

こちら をご覧ください。)

ひとつひとつの項目について調べることに加えて

注目したいのは、

「音環境に関すること」

について性能評価を取得しているかどうかということ。

というのは、大きく分けて9項目からなる性能評価の項目のうち、

「音環境に関すること」

については選択制なのです。

つまり、

音環境については評価を受けなくても

性能評価書を受けることができる

ということになります。

では、「音環境に関すること」においては、

どのような品質が評価されるのかと言いますと、

・重量床衝撃音対策
 …上の階で、子どもが飛び跳ねたりイスを動かした
  ときなどに発生する音がどれくらい遮断されるか。

・軽量衝撃音対策
 …上の階で、スリッパで歩いたときの「パタパタ」という音や
  スプーンが軽量のものが落下したときなどの音がどれくらい遮断されるか。

・透過損失等級(界壁)
 …お隣さんで発生した音が壁でどれだけ遮断されるか。

・透過損失等級(外壁開口部)
 …戸外で発生する騒音がサッシでそれくらい遮断されるか。

というように、マンションでトラブルとなりやすい

重要な項目ばかりとなっています。

ですから、マンションを見比べる際、

もはや性能評価書を取得していることは大前提であって、

そのなかで「音環境に関すること」についても

評価を受けているかどうかをしっかりチェックしてください。





法律を義務づけられていることをわざわざアピールする物件

ご覧いただき、ありがとうございます。


マンションのパンフレットには、

その物件のウリとなるところが紹介されています。

まず目を引くのは、

実物と見まがうほど美しく仕上げられたCGなどですが、

しっかりと抑えるべき点は別のところにある、

というお話は、以前させていただきました

こちらのサイトにも記事がありますので、

よろしければご覧ください)。

また、パンフレットに書いてあることのほかに、

書いていないことにも注目すべきというお話も

以前させていただきました。


今回は、

「法律で義務づけられていることを、

さも品質向上のために積極的に導入しました」

というような語り口でパンフレットに書かれていることがある、

というお話です。

ディベロッパーの側からすると、

「お客さまが疑問や不安に思ったりするかもしれませんので、

記述しておきました」

という心遣いなのかもしれませんが、

読む側としては過大でもなく、過小でもなく、

物件の性能を正確に把握したいところ。

ですから、仮に以下で列挙する項目について

パンフレットに書かれていても、

それは法律で定められたことであるゆえ

基準が満たされているのは当然のことであって、

同じ条件のマンションであれば、

他の物件でも当然クリアされていること、

とご理解ください。

もし、同じようなタイプのマンションを複数検討されていて、

「Aのマンションにはパンフレットに○○○について書かれているのに、

Bのマンションのパンフレットでは一切言及されていないので、

Aのほうが品質がいいってこと!?」

というような解釈をしてしまうと、

判断を誤りかねないので。


最近、とあるタワー型マンションの

パンフレットで目にしたのは、

「特別避難階段」です。

超高層のマンションでは、万が一、

火災が発生した場合、

避難できるかどうかは気になるところ。

高層階では、はしご車も届かないフロアがありますから

(ちなみに、「はしご車って、大体何階ぐらいまで届くの?」

と疑問に思い、調べてみると、

日本にあるはしご車では

50メートル級というタイプが最大のようで、

おおよそ17階くらいまでは届く、と

あるサイトに書かれていました。

これはオフィスビルを基準に考えられているでしょうから、

階高を3,500mmとすると

マンションでは14、15階くらいでしょうか)。

話が逸れましたが、

「特別避難階段」は地上15階以上の建物には

設けなければならないと法律で義務づけられているものです。

ですから、いわゆる超高層のタワー型マンションでは

設置されていて当然ということになります

(またまた話が逸れますが、

特別避難階段を設置しなければならない「15階以上」という基準と

はしご車が届く高さの限界がおおよそ「15階」であることの間には、

何か関係があるのでしょうか。

ご存じの方がいらっしゃれば、

是非教えていただきたいと思います)。


また、とある高層マンションのパンフレットでは、

「構造評定を受け、国土交通大臣認定を取得」

しているほどの厳しい設計基準をクリアしている

とアピールしていましたが、

これも、高さが60mを超える建物であれば、

構造評定を受けなければならないと

法律で定められているので、

標準に比べてより「厳しい設計基準」

というわけではないのです。


以上のように、法律で義務づけられていることを積極的に導入し、

あたかもより高い品質のマンションであるかのように

見せかけている物件がたまにありますので、

パンフレットなどを読まれるときにはご注意ください。

今後、同じような事例を見かけたら

また本ブログに記事をアップしようと思います。




図面は情報の宝庫~図面を解読しよう4:石膏ボードの厚さに遮音性能があらわれる

ご覧いただき、ありがとうございます。


新しいマンションで暮らし始めて、

よくトラブルになるのが騒音の問題です。

マンションが建つ前に現地の状況を昼・夜とも確認し、

周辺環境から特に気になる騒音が無かったにもかかわらず、

実際に住み始めると想定外の騒音に悩まされることがあります。

原因はいろいろ考えられますが、

生活騒音もそのひとつです。

特別大きな音を出すような行為、

例えばテレビやオーディオの音量を極端に上げるなどしなくても、

ごく普通の暮らしをしている中で生じる音が

お隣に筒抜けになることがあるのです。

音の発生源として考えられるのは、特に水回り。

洗面所、バスルーム、トイレなどで生じる音が響くので、

マンションでも特に入念に騒音対策が施されます。

今、お手元に検討中のマンションの設計図面があれば、

水回りの間仕切り壁に注目してください。

ここに使われている石膏ボードの厚みをチェックするのです。

9.5mm厚であれば、遮音性に難があるかもしれません。

音が出やすい水回りでは、

12.5mm厚のものを採用してほしいところです。

私が以前関わったホテルの設計では、

遮音性に特に気をつかって

12.5mmの石膏ボードを2枚貼りという

仕様にしたことがありました。

マンションでここまで遮音性を高めることは稀かもしれませんが、

それでも9.5mmではなく12.5mm厚の

石膏ボードを水回りの間仕切り壁に使っているか

チェックしてくださいね。